夏を歌うことに正面から向き合った通算14作目のオリジナルアルバム。デビュー10年目を迎えた1994年、TUBEはアルバム制作をセルフプロデュースで行う体制へと移行。その結果、今作は脂が乗り切ったバンドのパワーをハイレベルで集約した作品となった。ポジティブな高揚感が押し寄せる「もう負けないよ」で始まり、続く大ヒット曲「夏を抱きしめて」ではスローな演奏から徐々に高まりを見せていく流れが見事。1980年代当初から加山雄三やサザンオールスターズといった湘南サウンドを継承する存在として認知されていたTUBEが、サマーソングを歌う自分たちの魅力を最大限に発揮した。リスナーに元気を与える「終わらない夢に」、スポーツ界でも人気が高い「傷だらけのhero」など、バンドの充実ぶりを感じる楽曲が多い。ラストを飾るバラード「夏よありがとう」は、それまでのおなじみの楽曲タイトルをちりばめた歌詞が心憎い。ライブでの人気曲も多数収録した本作は、TUBEの最高傑作とも称される。