前作「自由律」から4年ぶりとなる、3作目のフルアルバム。黒木渚はこの間に作家としても活動しており、その姿勢が本作にもフィードバックされている。この作品と同時に発売された同名の私小説で、彼女は自身について「臆病で、ひねくれもので、繊細な死にたがり。」と表現しているが、アルバムタイトル曲や"美しい滅びかた"、"Sick"といった楽曲から見えるのは、まさにそんな人間の生々しい姿である。怒りや破滅といったイメージに彼女の死生観や人生観が交錯する歌詞や、ナンバーガールの田渕ひさ子やthe HIATUSの柏倉隆史らが参加したポストロック的な要素を備えたサウンド、それらをポジティブに昇華した歌声は、彼女にしか表現できない開放感に満ちている。
- 2017年
- 2023年
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