東京

人生は一筋縄ではいかない。紆余（うよ）曲折のバンド活動を送ってきたSUPER BEAVERは、誰よりもそれをよく知るバンドだろう。彼らのメジャー再契約2作目となるアルバムは、矛盾を抱え、混乱しながらも懸命に生きるすべての人々に贈る人生賛歌が並んでいる。次第に増えていく大事なものを抱え生きることを“人間冥利”と表現する「スペシャル」、それぞれの場所で頑張っている一人一人に“報われろ”と力強く伝える「ロマン」。挫折の痛みを、やるせない憤りを、止めどない悲しみを感じながら歩んでいく日々の糧となる歌がここにある。勢いがみなぎるロックナンバーだけではなく、スカ調の軽快なビートを鳴らす「ふらり」、どこか緩んだリズムで停滞の果てに終わった恋を描く「それっぽいふたり」など、バラエティに富んだアレンジも聴きどころ。曲がりくねった道の上で、彼らはまた大きな一歩を刻んだ。