

コンセプト:「タイトルの通り、私の青春の衝動を詰め込んだアルバムなのかな、と思っています」。あいみょんは2017年にリリースした自身初のフルアルバム『青春のエキサイトメント』を振り返り、Apple Musicに語る。フォーク、ロック、ポップ、ファンクといった多彩なアプローチを通して、血湧き肉躍る“青春の躍動”が刻まれた本作。“青春”という言葉は若い一時期を連想させるものの、ここではもっと広く、人生のどの場面にも訪れる“心が動く瞬間”を意味している。「曲を書いたり何かを作ったりする時って一種の興奮状態にあって、だからこそ作りたいと思える。その状態はすごい青春だなと。そういう意味でつけたタイトルです」 背景:当時のあいみょんは、「マリーゴールド」(2018年)の大ヒットをきっかけに大きく飛躍していく、その前段階にいた。感情を真っすぐに伝える歌詞や普遍的なメロディセンスはすでに評価されていたが、とりわけフォークロックの影響が強くにじむ作風が注目されていた。「生きていたんだよな」では死生観に迫り、「君はロックを聴かない」では不器用な心をさらけ出すなど、シングル曲での率直な語り口は当時のシーンでは異色ともいえた。生々しいメッセージは同世代には新鮮に、上の世代にはどこか懐かしく響き、幅広い層から支持を集めた。 注目曲:アコースティックギターとドラムのみのミニマムな編成による「憧れてきたんだ」は、まさに青春の無謀さを体現している。「ドラムの恒さん(恒岡 章)と2人で、“せーの”で一発録りしました。とても印象深いレコーディングの思い出です」。ラフな音像の中で、あいみょんは自分を魅了し、ある時期から表舞台を去ったスターたちへの愛を叫ぶ。「今も昔も変わらず“憧れ”というものに励まされたり鼓舞してもらっています。デビューしてから憧れの人にもたくさん会えて、そのたびにいただく言葉にも勇気づけられました。今は、いつか自分が憧れられる対象になりたいと思っています」 「風のささやき」には、デビュー前の準備期間に胸の奥で渦巻いていた思いが刻まれている。「当時は不安と期待と寂しさでぐちゃぐちゃになり、譜面を投げつけたりもしました。自分の前を歩く人にもムカついてしまっていて。そんな時に、部屋に飾ってあった『風のささやき』という洋楽のオムニバスレコードがふと目に入ったことがきっかけでできた曲です」。ここで歌われるのは、報われない日々の中でもがく人が抱く普遍的な感情でもある。あいみょん自身も駆け出しの頃は「人からの“頑張れ”が苦しかった」と振り返る。 「風のささやき」の鬱屈を、次の「RING DING」がはつらつとしたサウンドで吹き飛ばす。「『ため息は酸素の無駄遣い』というフレーズを思いついたことがきっかけで作った曲です。誰かを応援したいと思って作ったわけではないんですが『この曲で励まされました』『元気が出ます』と言ってもらえたりして。楽曲の在り方って、こうで在るべきやなぁと感じます」 最後に:この後、あいみょんは数々の人気曲を世に送り出し、時代を象徴するヒットメイカーとなる。本作はその出発点であり、今につながる創作へのスタンスをすでに示している。「これまでリリースしてきた作品もそうなのですが、毎回コンセプトは特に考えていなくて、あるストックの中からその時に一番自分がいいと思える曲を入れています」。自分の感性を信じて研ぎ澄ませる姿勢が、彼女の作品にいつも澄んだ光をもたらしている。