制作中にロンドンで行ったライヴで、現地のオーディエンスにかけられた「Fantastic!」という反応から命名された本アルバム。その題名は前作「FUNKAHOLiC」からの連続性を感じさせるし、幕開けも70年代的な “Party People”、JB流儀の “91時91分” と派手なビート・ナンバーが続くものの、全体としてはファンク一辺倒にならぬようにサジ加減が工夫されている。亀田誠司プロデュースの “サヨナラホームラン” は浮遊感の高いエレクトロが響く内省的なミディアム・テンポだし、かすかな希望を見出そうとする “兆し” はアコースティックな味わいのバラード。屋敷豪太のプロデュースによる “夏色タイム” は90年代のUKジャズがAORと融合したかのような仕上がりだ。ほかに有効なアクセントとして際立っているのは “はじまりの日” のほかに “ドキュメント2010” でもラップで大活躍している Mummy-D の存在だろう。すでに10年選手の域にいるスガではあるが、こうしたゲストとのコラボを的確に織り込むことで、自作につねにフレッシュな空気を取り入れる姿勢をキープしている。ファンクという確固としたルーツ音楽を現代のJ-POPの中で蘇生させようと奮闘する彼の手腕が光る好作品だ。
- 2021年
- 2007年