さざなみCD

さざなみCD

ここまでの数作の間に継続してきたプロデューサー=亀田誠治とのコラボレーションの総決算とも言えそうな2007年作。制作期間にかなり余裕を持たせ、断続的に曲を録りためてきた成果が、草野マサムネの曲調にバリエーションを持たせることと、繊細にして機知に富んだアレンジにしっかりと反映されている。ネオアコ的な "群青" (植村花菜、スキマスイッチの大橋卓弥がコーラスで参加)などは初期の彼らのサウンドを思わせるし、"Na・de・Na・deボーイ" はポップでありながらいびつさを抱えていたりと、スピッツらしさはそこかしこに健在。また "僕のギター" や "P" では極上のサウンドスケープを聴かせるなど、微細でありながらも着実な進化を見せているのも注目すべき点だ。こうした楽曲からは、決してテクニカルなバンドではないのに、4人がそれを補ってあまりあるスタイルを身につけてきた事実が感じられる。また、 "ルキンフォー" や "魔法のコトバ" では長く歩いてきた人間の姿が垣間見え、そこにはデビューから15年を経たバンドの像をかぶらせることもできよう。ダウンロードが主流になろうという時代に、タイトルにあえて「CD」と付けるセンスもスピッツらしさではないだろうか。

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