FIRE DOG

FIRE DOG

ひとことで表現するなら、これは「ロック・アルバム」だ。個性的なシンガー・ソングライターとして90年代半ばにデビューした斉藤は、魅力的な楽曲とつかみどころのないキャラクターで着実な支持を獲得しながら、ミュージシャンとしての力量も向上させてきた。しかし元来、何よりもギタリストとしての志向性を強く持っていた彼は、このオリジナル4作目で自らのロック・フィーリングを前面に押し出したのである。激しいギター・リフが鳴るタイトル曲 " ファイアー・ドッグ" 、ロカビリー・タッチの先行シングル "砂漠に赤い花" の冒頭2曲はその最たるもの。アルバム全体にビートを強調したアレンジが多く、音質的にもアナログ感が強調されており、ここでの斉藤はまるで水を得た魚のよう。こうした音楽面で大きな手助けをしたのは前作「WONDERFUL FISH」からアレンジャーとして参加している ICE の宮内和之で、最終曲 "通りに立てば" のように、ロック感を増進させる役割を担いながらも、斉藤の持つポップ感を損ねないバランスに収めたのはさすがだ。また、 "あの高い場所へ" では当時同じマネージメントに所属していたフラワー・カンパニーズが的確なバッキングを務めている。この時期に明確にされた斉藤のロック感覚は、これ以降の彼の音楽において貴重な要素となっていった。

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