僕らのファンタジー

僕らのファンタジー

2008年に結成された SEBASTIAN X は東京を拠点に活動する4人バンドで、2人ずつの男女で構成されている。その音楽は、ズバリ、ポップだ。まず際立っているのがヴォーカルの永原真夏の声で、快活で突き抜けるようなその響きは聴く者の心をハッピーにする力がある。リードトラックである “世界の果てまで連れてって” が放つワクワク感は、彼女の存在感があればこそだろう。そしてそんな元気な歌声を受け止めるバンド・サウンドもきっちりとしたポップ・センスに裏打ちされたもので、ギターレス・バンドでありながらアイディアと引き出しは豊富のようだ。“フェスティバル”、“夏の王様” ではアイリッシュ・ミュージック的なメロディが大きな役割を果たしているし、“GOODMORNING ORCHESTRA” でのスティールパンの調べも鮮やかだ。また、勢いと躍動感のある演奏には4人がライヴを着実に積み重ねてきた成果が反映されており、バンドの基礎体力がちゃんと形成されていることが感じられる。さらにはどの曲のメロディラインも非常に明快で、そこには聴く者を選ばない間口の広さがある。そして基本的には前向きなポップ・ロックを唄うバンドでありながら、永原による歌詞にはところどころで悲しみ、せつなさといった感情が横たわっており、それが音楽に陰影を与えているのも見逃せない。2010年屈指の期待のバンドである。

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