

1984年2月、シングル「モニカ」でのダイナミックな歌と激しいアクションで新人離れしたオーラを放った18歳の吉川晃司が、 その破格の存在感を見せたフルアルバム。 夏や西海岸をイメージして制作されたこのデビューアルバムでの彼は、自分自身のすべてをぶつけるような歌唱で若さみなぎる高揚感を体現している。大村雅朗のアレンジはロック的なサウンドにエレクトロポップの要素を導入したアグレッシブなものだが、そのビートは吉川のボーカルとの親和性が非常に高い。楽曲においては特にアーティスティックな作家たちの感性が彩りをもたらしており、例えば「モニカ」を含め3曲で作曲を担当したNOBODYはいずれもアップテンポのナンバーでハイテンションを演出。原田真二や佐藤隆のメロディは、吉川というシンガーの弾けるようなパッションを叙情的に表現している。作詞の面では、後に自身もデビューを果たした安藤秀樹がみずみずしい世界を描き、さらに佐野元春の曲をカバーした「I’M IN BLUE」においては、同時代の表現者たちのエネルギーが凝縮されているかのようだ。吉川自身には当然まだ初々しさが感じられるものの、この後にアイドルとロックの境界を破壊するアーティストとなっていく彼の第一歩として捉えると、本作の出来に納得がいくファンは多いはずだ。