2000年代初頭からMSCの主要人物としてシーンに登場し、フリースタイルMCバトルの発展に大きく貢献するなど、日本のヒップホップをけん引してきたラッパーの漢 a.k.a. GAMIが、ラップの実力を改めて見せつけた2018年のアルバム。ミックステープ形式の作品を除いて2作目のオリジナルアルバムに当たる本作は、自らの生い立ちやシーンのリアリティを赤裸々につづった自伝と同じタイトルが冠されている。フリースタイルMCバトルの人気番組に出演し、ヒップホップの枠をはるかに超えた知名度を得た中でリリースされたが、過度に大衆に迎合したり大風呂敷を広げたりすることなく、ある種のすがすがしさを感じさせるほどストレートなヒップホップアルバムに仕上がっている。刺激的なボキャブラリーを駆使しながらタイトなライミングで畳み掛ける中に、ユーモアも交えつつリアルなストリートを描き出す彼ならではのラップの魅力が存分に楽しめる。