アダンの風

アダンの風

はかなく脆そうに聴こえても、その実、生々しさと力強さがしっかりと息づき、リスナーの心に足跡を残していく青葉市子の7作目のアルバム。波の音、そして、寄せては返すオルガンの持続音とクジラの鳴き声に包まれた海の景色から幕が上がる、“架空の映画のためのサウンドトラック”として制作された本作は、作編曲で梅林太郎をコラボレーターに迎え、ジャケットアートからも伝わるように自然と共鳴するかのような作風へ。アシッドフォークやクラシック、ブラジル音楽、アンビエントといった彼女の音楽ルーツを、その定評あるガットギターの指さばきにしのばせながら、新たな桃源郷へとたどり着いた力作に仕上がっている。流麗なストリングスアレンジメントが神話的な壮大さを思い起こす「Pilgrimage」から、後に続くパストラルなシンフォニックポップ「Porcelain」、ボイスパフォーマーとしての類まれな力量を見せた「帆衣」や「霧鳴島」、さらには「Parfum d'étoiles」では鳥の鳴き声などのフィールド音も散りばめて、閉じられた空間の中から外の世界を幻視するような不思議な神話譚を紡いでいる。

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